ここもあそこも私のアナザースカイ

Life is a tragedy when seen in close-up, but a comedy in long-shot.

Uppsalaという街

 

Uppsalaに来てもうすぐ2ヶ月。

葉っぱが赤や黄色に色づいてきたと思ったら一週間足らずで落ち葉となってしまった。今は黄金の絨毯が街を覆い尽くしているが、これもあと数日で土に還るだろう。スウェーデンの秋は美しかったがなんとも儚くあっけなかった。

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ウプサラはスウェーデンの首都ストックホルムから鈍行列車で約1時間。特急だと30分ほどで着く。街は大きくないが、お店が立ち並ぶショッピング通りや映画館、日本食レストランなどなんでも揃っている。もちろんIKEAもある。ウプサラは大学の街でもあるため常に学生で賑わっている。キャンパスが至る所に点在し、nationというサークルとホグワーツの寮の中間といった組織が提供する安いランチを食べることもできる(nationについては後ほど)。

 

まずはウプサラ大学について。

ウプサラ大学は1477年に創立した北欧最古の大学だそうだ。実は南部にあるルンド大学も自分が最古だと言っているらしいがここはウプサラ生としてウプサラ大学が真の最古だと信じよう。この大学の著名な卒業生といえばやはり教科書にも登場する分類学の父Carl von Linnéや温度の摂氏を考案したAnders Celsiusなどではないか。今でも理系が盛んな大学で、ノーベル賞受賞者をたくさん輩出している。また平和学においても有名で、第二代国連事務総長ノーベル平和賞受賞者も輩出している。私も今学期は紛争と人類学の授業を履修している。

ウプサラにはnationというスウェーデンの地方の名前がついた13の団体が存在している。交通機関が発達していなかった昔、遠い故郷になかなか帰省することができなかった代わりに同郷の学生同士が集まってできたのが始まりだ。そのため現在でもスウェーデン人学生は自分の出身地のnationに所属することが多い。強制加入ではないが、それぞれのnationにカフェやパブ、クラブアクティビティがあるため、多くの留学生は自分の気に入ったnationに所属している。nationごとに伝統の歌やgasqueという蝋燭が並んだフォーマルなディナーパーティなどもある。私は小規模でアットホームなgotlands nationが気に入ったので加入した。1681年に創設されたが1663年にはすでに存在していたらしい。とても長い歴史のあるnationだ。Gotlandはバルト海にある島の名前だ。魔女の宅急便のモデルとなった地でもあるため春になったら訪れようと思っている。

 

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ウェルカムレセプションの際に入った大学のホール。シャンデリアが圧巻だった。
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大学メインビルディング。この中にホールがあり、授業を行う講義室もある。
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メインビルディングの内部。二階には彫刻が並べてあり、まるで美術館のようだ。

 

こちらはメインビルディングの近くにあるGustavianum という博物館。大学創設初期に使われていた教科書や人体解剖講義場、セルシウスが所有していた温度計など興味深いものがたくさんあった。

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この街でもうひとつ有名なのがウプサラ大聖堂だ。この大聖堂は北欧最大級の大きさで、17世紀後半まではここで戴冠式が行われていた。内部にはリンネやグスタフヴァーサなどの著名な人物が眠っている。内部はとにかく広い。この巨大な大聖堂は街のどこからでも見えるランドマーク的存在だ。

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そしてウプサラ城も忘れてはならない。

グスタフヴァーサの居城として建てられ、1567年の精神を病んでいたエリック14世が城で5人を処刑したSture Murdersという事件が有名だ。現在はウプサラ県知事公舎や現代美術館として使われている。このお城は街の高台に位置しているため、オーロラ観測をする時はよくここに集まる。

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10月上旬にウプサラ城の広場から見えたオーロラ。

 

最後に街から自転車で1時間ほどの所にあるGamla Uppsalaについて。

Gamlaとはスウェーデン語で古いという意味。ストックホルムの有名な観光地ガムラスタンも古い街という意味だ。ガムラウプサラは現在のウプサラに街が移る前に繁栄していた場所だ。先史時代から中世にかけて政治、宗教、経済の重要な中心地であったそうだ。現在は墳丘墓などが残っているのみだが、一面に広がる芝生を心地良い風が駆け抜けるスウェーデンの原風景とも言えるような素敵な所だった。

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遠くにウプサラ城とウプサラ大聖堂が見えた。

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ガムラウプサラから自転車で帰る途中。紅葉のピーク。

 

 

これにてウプサラの街紹介はおしまい。

あと約8ヶ月、この素敵な街を余すことなく堪能しようと思う。

Hej då!

 

 

留学1ヶ月経過

 

寮に到着して早々、食器類が放置されてコバエが大量発生している見るも無惨な共有キッチンを目の当たりにしてお先真っ暗だと落胆したあの日から1ヶ月。

結論から言うとお先は全然真っ暗ではなかった。むしろ日本にいた時よりも生き生きとした生活が送れている気がする。もちろん授業の課題の難しさと自分の英語力に落胆したりほぼ毎日誰かがフライパンや食器を放置しているのを見つけてイライラしたりと楽しいことばかりではないが、それでも前向きでいられるのはここウプサラのおかげだと確信している。

寮からキャンパスまでは自転車で15分、澄んだ冷たい空気を吸いながら木々の間を走り抜け、教会の鐘が鳴り響く街の中心部へとペダルを漕ぐ毎日。こんなに清々しい気持ちで学校に向かったことが人生で一度でもあっただろうか。1時間半近く息苦しい殺伐とした電車に押し込められて通学していた頃を考えれば今の生活は天国だ。夜の星空もこれまた綺麗で街を一望できるウプサラ城から見る星空は何時間でも眺めていられる。何時間でもと書いたが実際は寒過ぎて9月末にオーロラを探しに外に出た時は気温3℃で3時間が限界だった。ジンを飲んで寒さを凌いでいる人を見た時はさすがヨーロッパと思った。

 

目の前には豊かな自然、上には星空。

下を向いているのは勿体ない。

そう思わせてくれるこの街と出逢えて本当に良かったとつくづく感じている。

 

落ち込むこともあるけれど

私、この町が好きです。

 

今の私にぴったりな台詞。しかも魔女の宅急便のモデルはスウェーデン。このキキの台詞を言わずにはいられなかった笑

 

北欧最古の大学、北欧最大級の大聖堂等まだ触れていないウプサラの魅力がたくさんあるがそれは別の機会に…

Hej då!

 

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寮からの景色。先日リスが窓の外の木々を渡り歩いているのを見ることができた。

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ウプサラ城からの景色。目の前にはボタニカルガーデン。
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街の中心を流れる川。ウプサラ大聖堂は街のどこからでも見つけることができる。